ロボット入門 | 川崎重工の産業用ロボット https://kawasakirobotics.com/jp/blog/category/introduction-to-robots/ Fri, 06 Oct 2023 07:47:03 +0000 ja hourly 1 https://www.altis-dxp.com/?v=6.2.4 https://kawasakirobotics.com/tachyon/sites/3/2022/02/cropped-site-icon.png?fit=32%2C32 ロボット入門 | 川崎重工の産業用ロボット https://kawasakirobotics.com/jp/blog/category/introduction-to-robots/ 32 32 ROBO CROSS https://kawasakirobotics.com/jp/blog/story_18/ Mon, 27 Feb 2023 01:26:00 +0000 urn:uuid:c6f977a7-f707-4118-8940-53166ea9717c 川崎重工は、総合ロボットメーカーとして、ロボット本体を提供するだけではなく、インテグレーションを効率化するソリューションを新たに提案いたします。ロボットの社会実装を加速し、ロボットが社会の様々なシーンのデータを取得し社会全体のデジタル化の推進力となることを目指し、最終的にはこれまでになかった価値をエンドユーザーに提供するイノベーションプラットフォーム「ROBO CROSS」を立ち上げます。

Kawasaki Roboticsが創り出す新しいロボットの世界。そのキーとなるのがKawasaki Robot Digital Platform「ROBO CROSS」です。
ロボットディビジョン長 髙木自ら「ROBO CROSS」の概要とKawasaki Roboticsが作り出す新しい世界像について語ります。

ロボットで社会課題を解決するために

これまで川崎重工のロボット事業では、製造業を中心に自動化・省人化のソリューションをご提案してまいりました。一方で、世界では依然として多くの社会課題が存在しています。これらの社会課題をどのようにしてロボットで解決していくのか。
川崎重工はさまざまな課題に精通している企業と協力することで、ロボットの活用領域を拡大させ、更にロボットが収集するデータを活用することで社会課題の解決に貢献します。それを実現するためのプラットフォームの構想、それがKawasaki Robot Digital Platform ROBO CROSS です。

ROBO CROSSが実現する「ロボットのある未来」

ROBO CROSSが持つ2つの役割(①ロボットシステムのインテグレーション効率化 ②データ活用による新たな価値創造)を、ユースケースで説明します。

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【ROBO CROSS】ロボットで社会課題を解決するために https://kawasakirobotics.com/jp/blog/story_19/ Mon, 27 Feb 2023 01:25:47 +0000 urn:uuid:ea5d321d-235a-4eac-85ff-71ca777d5b5d

これまで川崎重工のロボット事業では、製造業を中心に自動化・省人化のソリューションをご提案してまいりました。一方で、世界では依然として多くの社会課題が存在しています。これらの社会課題をどのようにしてロボットで解決していくのか。
川崎重工はさまざまな課題に精通している企業と協力することで、ロボットの活用領域を拡大させ、更にロボットが収集するデータを活用することで社会課題の解決に貢献します。それを実現するためのプラットフォームの構想、それがKawasaki Robot Digital Platform ROBO CROSS です。

「ROBO CROSS」構想とは?

「ロボットシステムを効率的に生み出すオープン開発環境」「ロボットが収集したデータから価値を生み出すデータ活用基盤」2つの機能を有するプラットフォームです。

ロボットシステムのインテグレーション効率化

データ検索

ロボット、周辺機器、システム設計のリファレンスデータを共有

仮想試運転

デジタル空間でロボットシステムを構築し、様々な条件で検証

実機システムへの反映

仮想試運転済みのデータを実機へダウンロード、立上げ調整を短縮

ロボットに関連する様々なデータを共有し、デジタル空間で効率的にロボットシステムを開発できる環境を提供します。ここで開発したシステムを実機にそのまま移行できるように、便利な機能を準備していきます。

各パートナーが自社の得意とする分野のアプリケーションを開発し、そこで生まれた技術(ソフト・ハード)がプラットフォームに蓄積されます。
このプラットフォームに参加するパートナーが多くなるほど、強みを発揮する仕組みです。

データ活用による新たな価値創造

  • ロボットの作業状況や周辺環境のデータを収集
  • 他社プラットフォームとも連携
  • ロボットシステムの継続的な進化や、全体効率の向上に活用

ロボットがセンサーとなってデータを収集することで、ロボットシステムやその前後工程の改善が可能になるだけでなく、ユーザ独自の新たな価値創造につなげていきたいと考えています。

ROBO CROSSの実現に向けて

ロボットデジタルプラットフォームの実現に向けて 川崎重工では多くの取組みを開始しています。

K-AddOn

ロボットと周辺機器の接続を容易にするため、機器メーカーと連携して、マニュアル、ソフトウェア、アプリケーション事例を提供します。

Point

  • カワサキで接続確認まで実施しているので安心
  • 接続のための部品やソフトの設計が不要
  • 適用動画で使い方を確認
OLP

PC上のシミュレーション環境でロボット教示プログラムを作成して動作確認するツールです。現地でのロボットの教示時間を短縮することができます。

Point

  • 正確な動作軌跡、タクトタイムをシミュレーションで再現
  • 干渉チェック、レイアウト検証、複数ロボットの動作確認
  • 複雑なワーク形状に沿ったティーチングも簡単
K-COMMIT カワサキロボット安心ライフサイクルサポート

ダウンタイムゼロに向けて点検、管理、分析、提案、メンテナンスを一貫して実施する正確かつ経済的なサービスパッケージ。ロボット設備の状態に応じて最適なメンテナンスプランを提案し、ライフサイクルコストの最適化に貢献します。

Point

  • TREND Manager(予知保全ツール)により、ロボットのダウンタイムを低減
  • 傾向管理定量点検(点検結果の数値化)により、ロボットの状態を正確にお知らせ
  • K-CONNECT(コミュニケーションツール)により、お客様とのつながりを強化

関連リンク

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【ROBO CROSS】ROBO CROSSが実現する「ロボットのある未来」 https://kawasakirobotics.com/jp/blog/story_20/ Mon, 27 Feb 2023 01:25:43 +0000 urn:uuid:d07c6f65-4d2a-447a-a39e-c69ec08e1b28 ROBO CROSSが持つ2つの役割(①ロボットシステムのインテグレーション効率化 ②データ活用による新たな価値創造)を、ユースケースで説明します。

USECASE

  • ロボットシステムのインテグレーション効率化
  • データ活用による新たな価値創造(例:製造現場、飲食店、ヘルスケア分野、物流分野)

ロボットシステムのインテグレーション効率化

ー データ検索(例えばグリッパの選定の場合)

従来のシステムアップ

対象ワークに応じて様々なハンドを選定あるいは設計、
実機にて試行錯誤

ROBO CROSS

豊富なデータベースから、実績ベースで検索

ー システム全体の設計

従来のシステムアップ

ロボットと周辺機器の連携動作調整を実機で長時間実施

ROBO CROSS

過去実績の中から類似するシステムを検索することで設計を効率化。仮想空間でシステム全体の動作を確認

このようにROBO CROSSでは、データや仮想空間を活用することで、ロボットシステムのインテグレーション効率化に大きく貢献し、これまでシステムアップに要していた手間や時間を大幅に削減することができます。

データ活用による新たな価値創造

ー 製造現場のユースケース

  • ロボットが生産ラインの情報を収集
  • エラー発生時に遠隔で原因究明や復旧をサポート
  • 複数の現場を統合的に管理
  • 継続的に生産ラインの改善を提案

ー 飲食店のユースケース

  • ロボットがオーダー情報を収集
  • 次のオーダーを予測して料理の下準備
  • こまめに食材を管理することでフードロスを低減

ー ヘルスケア分野のユースケース

  • ロボットが一人一人の健康状態を収集
  • 遠隔診察をサポート
  • 介護サービスと連携して健康状態に合わせた食事をロボットが配達
  • 健康維持に最適なコースを計画して、ロボットが一緒に散歩

ー 物流分野のユースケース

  • ロボットが個々の荷物の状態を収集
  • 倉庫管理システムとの連携でスペースの有効活用
  • 物流管理システムとの連携で荷物を詳細にトラッキング

このようにROBO CROSSに収集されたデータを活用することで、全体最適化や個々の状況に応じた細やかな対応など、最終ユーザーにとって有益なサービスを提供することができます。

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物流ソリューション https://kawasakirobotics.com/jp/blog/story_17/ Mon, 27 Feb 2023 01:22:05 +0000 urn:uuid:ff54fd24-1bc2-4057-8fbf-dae12a664812 新型コロナウイルス感染拡大により、爆発的に取扱量が増加した物流業界では、倉庫を中心に自動化が急速に進んでいます。川崎重工はロボットアームの汎用性に無軌道の無人搬送車による機動性を掛け合わせ、自動倉庫への入荷・出荷工程など物流の自動化・最適化をご提案いたします。

物流自動化の“入出庫の壁”に挑む

近年、EC市場の拡大などを背景に、物流業界では労働力不足が深刻化。物流の省人化・自動化は喫緊の課題となっています。

物流の省人化・自動化と言えば、輸送・配送に焦点が当たりがちです。しかし、サプライヤー、流通センター、エンドユーザーという一連の物流プロセスの中で、多くの人手を要しているのが倉庫への荷卸し・ピッキング・パレタイズの工程です。

川崎重工は「倉庫の省人化・自動化」を実現するためのソリューションを提供することで、近未来モビリティにおける輸送と合わせて、物流の自動化を目指します。

「倉庫自動化」のボトルネック

近年、物流業界は「自動倉庫」により、急速に自動化が進んでいます。一方で自動倉庫の前後工程となる、荷卸し・ピッキング・パレタイズの工程は、依然として人手で行われています。

川崎重工の物流ソリューション

01.荷卸し工程の自動化

従来の荷卸し作業における課題

荷卸しの工程にあたっては、トレーラーから運ばれてきた荷物をコンテナから卸して、積み替える必要があります。これまで、なぜこの工程が自動化されてこなかったのか?そこにはコンテナ内の荷物の積み方に問題があります。

コンテナ内では、荷崩れしないように、形状や大きさが異なる様々な段ボールが積まれています。そのため、機械がそれらの段ボールを把持して、積み替えるには難易度が高いものになっていました。

これまではコンテナ内部に人が入り、ベルトコンベヤに荷物を載せたり、フォークリフトで荷物を積み直したりという作業が発生していました。

川崎重工が提案する荷卸し工程のソリューション
Vambo(バンボ) 荷卸し・荷積みロボット

ロボットアームと無人搬送車(AGV)を組み合わせた荷卸し・荷積みロボット。幅広い可動範囲と大きな可搬重量をあわせ持つ、垂直多関節ロボットアーム、周囲の環境を認識するビジョンセンサー、そしてロボットアームをコンテナ内の作業位置まで搬送する無軌道の無人搬送車(AGV)が特徴。

川崎重工による荷卸し工程の自動化
Vamboがコンテナ内まで自走すると、ビジョンセンサーで段ボールの形状を認識。ちりとりのような形状のハンドと垂直多関節ロボットアームでさまざまな形状や大きさの段ボールをピッキング。そのままベルトコンベアに載せることができます。コンテナから荷卸しされた荷物は、ベルトコンベヤの終点部で待つパレタイズロボットによって、フォークリフト用のパレットに移し替えられていき、荷卸し完了。川崎重工はこれら一連の作業をすべて自動化することができます。

02.ピッキング工程の自動化

従来のピッキング作業における課題

「自動倉庫」からプラコンと呼ばれる箱で荷物が自動的に送られてきます。プラコンから荷物を取り出し、発送用の段ボールの組み立て・梱包作業といった発送先ごとに詰め替える作業は、人手によって行われています。

川崎重工が提案するピッキング工程のソリューション
duAro2(デュアロ2) 双腕スカラロボット

人と同じ空間での共存、協働作業が可能な双腕スカラロボット。人一人分のコンパクトな設置スペースで作業ができ、コントローラを内蔵したキャスター付きの台車により、簡単に移動・設置も可能。双腕を活かして、さまざまな形状・大きさの荷物をピッキング、詰め替え作業が可能です。

RS013N 6軸垂直多関節ロボット

垂直多関節ロボットならではの3次元的な動作が特徴のRS013N。

川崎重工によるピッキング工程の自動化は、RS013Nが段ボール箱を組み立て、duAro2がプラコンから段ボール箱への梱包作業といった、これまで人手で行われたピッキング、梱包の工程を自動化します。

03.パレタイズ工程の自動化

従来のパレタイズ作業における課題

最後の工程が、荷物が詰められた段ボール箱をパレットに積み込むパレタイズと呼ばれる作業。重量物を迅速かつ安定的に積む必要があり、人手で行う作業では大きな負担を強いられていました。

川崎重工が提案するパレタイズ工程のソリューション
CP180L パレタイジングロボット

業界最速の処理能力を誇る川崎重工の高速パレタイジングロボット。食品、薬品、印刷物など様々な業界の多様なニーズや多品種少量化の生産に対応します。

川崎重工が提案するパレタイズ工程の自動化
コンベヤから送られてきた段ボール箱をRSシリーズのロボットアームで所定の場所に整列。整列された段ボール箱をパレタイジングロボットが迅速かつ正確に掴み、パレットへ適切に積み上げていきます。

これまで多くの人手を要していた物流プロセスの「荷卸し」「ピッキング」「パレタイズ」。川崎重工はこれらの「自動化・省人化」に取り組むことで、サプライチェーンの効率化に寄与していきます。

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【近未来モビリティ】 https://kawasakirobotics.com/jp/blog/story_15/ Mon, 27 Feb 2023 01:21:00 +0000 urn:uuid:7289d861-8873-4757-9ac7-605cb19b4749 「近未来モビリティ」では、川崎重工が手掛ける幅広い技術の中から、ロボティクス・モビリティ・航空技術を組み合わせ、新規に開発を進めているVTOL無人機や配送ロボットを活用した未来の輸送システムの可能性をご紹介いたします。

物流業界における人手不足

少子高齢化の進む日本では、労働人口不足が深刻な社会課題になりつつあります。ある推計では、2030年に7,073万人の労働需要に対し6,429万人の労働供給と予測されており、「644万人」の人手不足が起こるともされています(出所:パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」)。

物流の領域においても運送業の高齢化は年々進み、近年はネットショッピングの拡大により、宅配便取扱数も急増。将来的な人手不足が見込まれています。また、配送業者の長時間労働も問題視され、「人手は不足する一方で仕事量は増え、さらに労働環境が悪化していく」という悪循環は、これからますます深まっていくと懸念されています。

「近未来モビリティ」とは?

従来の「人の移動手段、乗り物、交通システム」などを意味するモビリティに「無人化」「高い走破性」「ロボットアーム」などの川崎重工の持つテクノロジーをかけ合わせ、新たな価値を創出する。それが川崎重工の考える「近未来モビリティ」です。これまで人手で行われていた物流の無人化のほか、将来的には川崎重工が得意とする航空技術なども採り入れることにより、距離、物量、時間といった物流効率化における生産性を高めていきたいと考えています。

無人VTOL機、配送ロボットが実現するラストワンマイル解決構想

川崎重工が近未来モビリティで実現しようとしている世界の1つが、無人VTOL機(Vertical Take-Off and Landing aircraft)と配送ロボットの“無人物資輸送”によるラストワンマイル*の自動化です。

*ラストワンマイル…配送元から配送先に商品が到達するまでの、最後の接点

無人VTOL機の概要

詳細はこちら>>

無人VTOL機:K-RACER-X1
駆動方式:レシプロエンジン型(Ninja H2R向けスーパーチャージドエンジン)
飛行形態:垂直離着陸方式
制御方式:自動飛行
可搬質量:100 ㎏

もともと山岳地帯における輸送を想定し開発されたK-RACERは、川崎重工のヘリコプターの技術と、モーターサイクルで培った小型ハイパワーエンジンが組み合わされたソリューションです。すでに100kgの運搬能力を達成しており、今後は200kgを目標に開発が進められています。

K-RACERは、荷物の配送元から中継地を経由することなく、配送先の近くまで荷物を運びます。都市部や自然災害発生時の渋滞に影響されることなく、より時間通りで正確なデリバリーを実現します。都市部から地方への配送など、移動距離の長い広大な配達エリアでのデリバリーでもK-RACERは活躍します。

配送ロボットの概要
配送ロボットの特長
  1. 無人自律走行 周辺の環境を認識し、最適なルートで無人で走行可能
  2. 高い搬送能力 高い搬送能力により、効率的コストで輸送実現
  3. 軽量設計 人の手で簡単に押すことができ、軽々と持ち上げることも可能
  4. 走破性 優れた走破性により、段差の多い公道や未舗装道路での走行も可能
  5. リモートコミュニケーション モニターやカメラを活用して遠隔によるコミュニケーションなどが可能

配送先のラストワンマイルで連携する「配送ロボット」は、川崎重工のロボティクス技術と四輪バギーが持つ走破性を組み合わせたロボットです。モーターサイクル開発で培ってきた小型軽量化技術と、走破性の高い足回り、さらにはロボットで培ったアーム制御と環境認識技術をかけ合わせ、配送のみならず荷物の受け渡し・軽作業も行えるよう開発を進めています。

無人物資輸送の実現に向けた取り組み

すでに川崎重工では、同取り組みの概念実証(PoC)に成功。「荷物を積載した配送ロボットが無人VTOL機に自動で乗り込み、配送ロボットを積載したまま自動飛行、着陸後に配送ロボットが自動で離脱し荷物を届ける」という一連のシーケンスを実施しています。

医療の現場でも活躍する「近未来モビリティ」

他にも、川崎重工の「近未来モビリティ」はさまざまなシーンに広がりはじめています。藤田医科大学病院(愛知県豊明市)におけるスマートホスピタル構想に向けた取り組みの1つとして、川崎重工の配送ロボットを院内のインフラ・ITシステムと連携させ、安全・安心を確保しながら検体・医薬品などの院内の物資搬送に活用することを目指した実証実験をスタートしています。

将来的には院内誘導や買い物代行など活用の幅を順次拡大予定で、2022年度に同病院内での実際の運用を視野に入れ、着々と実証実験を進めていきます。

製造業の枠を超えるロボット「Nyokkey」

これから人口減少時代に入る日本。これまで製造業など一部でしか利用されてこなかったロボットは、今後さまざまな業界で求められることが予想されます。その1つがサービス業界。慢性的な人手不足に加え、コロナ禍により企業の経営環境は厳しさを増しています。サービス業界にロボットを。そのために川崎重工ではサービスロボット、Nyokkey(ニョッキー)の開発を行っています。

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【近未来モビリティ】製造業の枠を超えるロボット「Nyokkey」

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【近未来モビリティ】製造業の枠を超えるロボット「Nyokkey」 https://kawasakirobotics.com/jp/blog/story_16/ Mon, 27 Feb 2023 01:20:57 +0000 urn:uuid:dbe01497-9c4b-4dcd-b360-9123ebee589c

これから人口減少時代に入る日本。これまで製造業など一部でしか利用されてこなかったロボットは、今後さまざまな業界で求められることが予想されます。その1つがサービス業界。慢性的な人手不足に加え、コロナ禍により企業の経営環境は厳しさを増しています。サービス業界にロボットを。そのために川崎重工ではサービスロボット、Nyokkey(ニョッキー)の開発を行っています。

Nyokkeyは自律走行型サービスロボットです。人と一緒に働くことを想定して、人と同じように移動して、2本の腕で作業をします。飲食店における配膳・下膳。見回りによるビルの清掃業務のサポートなど。さまざまなシーンへの適応を想定しています。周囲の人の安全を考慮しながら、軽作業や扉の開閉が可能なパワーに設計されています。

Nyokkeyの特長

LiDAR✕ビジョンセンサーで位置把握

LiDARでレーザーを周囲に照射し、その反射からマップを作成して、自らの位置を把握します。加えて、ビジョンセンサーで物体認識することで人との衝突を避け、安全に自走することができます。

遠隔協調システム「Successor」

遠隔操縦装置であるコミュニケーターを使用し、ロボットの遠隔操縦を可能にする遠隔協調システムSuccessor。自動化が難しい動作を行う場合や、エラーを起こした際に自動運転から遠隔操縦に切り替えることで半自動化を実現し、イレギュラーなシーンにも対応することができます。遠隔操縦で行った動作を記憶させることで、人からロボットへ、ロボットから人への技能伝承を実現します。

自律走行「AMR(Automonous Mobile Robot)」

AGV(Automatic Guides Vehicle)があらかじめ設定したルートを走行するのに対して、ルートの設定をすることなく自律走行が可能なAMR。目的地を設定することで、自ら作成したマップ情報と周囲の環境を元に、最適なルートを判断して走行します。

共創プラットフォームとしてのNyokkey

Nyokkeyはニーズに合わせて適応させていくことを前提としています。サービスロボットに求められる能力や性能は、産業ロボット以上に多岐にわたることが想定されます。川崎重工が開発したNyokkeyシリーズのハードウェアを前提に、さまざまなパートナーと連携しながらニーズに合ったソフトウェアを早いサイクルで開発していく。Nyokkeyはロボットでありながらプラットフォームでもあります。

Nyokkeyの開発ストーリー

Nyokkeyの開発がはじまったのは2021年春。新型コロナウイルスが猛威を振るう中で、入院中の感染患者の見守りロボットとして開発が進められました。初期のNyokkeyは、病室を巡回することで、患者の有無、容態の変化を遠隔で確認可能にするというものでした。

医療従事者の感染リスクを減らし、逼迫していた医療の現場をサポートすることを目的としていたNyokkey。その開発はいち早く進められ、開始から1年足らずで完成。

その後、さらなる改良が進められ、サービス業界で広く利用することを想定された現在のNyokkeyに至ります。

Nyokkeyのユースケース

藤田医科大学病院 |サービスロボットの実証実験

2022年1月、川崎重工は藤田医科大学病院とスマートホスピタル構想の実現に向けた取り組みの1つとして、Nyokkeyの実証実験を開始。

フェーズ1では同一フロア内での検体や医薬品などの院内物資搬送と、人のエレベータ操作補助を前提とした別フロアへの移動が行われました。

フェーズ2となった現在では、自律走行機能・エレベータ連携機能を有したアーム付きロボットによる別フロア間搬送の検証が行われています。

フェーズ3では、多用途アーム付きロボットによる病院内作業と病院側システムとの連携検証が行われる予定です。

羽田イノベーションシティ | ロボットカフェの実証実験

羽田イノベーションシティ内にロボット情報の発信拠点として川崎重工が2022年4月末に開設予定のFuture Lab HANEDA。その中にあるロボットカフェ「AI-SCAPE」において、Nyokkeyがトレーや食器を認識して配膳・下膳を行う検証を実施予定です。

産業用ロボットの世界で50年以上の歴史を有する川崎重工。今後は「AI-SCAPE」で実証を行うサービス業界での適用をはじめ、さまざまな現場にロボットを提供することで、産業ロボットメーカーの枠を超えて、ロボットの社会実装を推進していきます。

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【近未来モビリティ】

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【安全安心リモート社会】 https://kawasakirobotics.com/jp/blog/story_11/ Mon, 27 Feb 2023 01:03:00 +0000 urn:uuid:f73e9f94-eedc-4750-ba9c-fc50480452e6 コロナウイルスの感染拡大を機に急速に普及し、ニューノーマルな働き方として定着したリモートワーク。しかし、製造業・医療・サービスなどの現場では、依然多くの人手が必要で、作業のリモート化は困難とされています。ロボットの遠隔操縦により、そうしたエッセンシャルワークをリモート化する。そんな川崎重工が描く安全で安心なリモート社会をご紹介いたします。

ロボットで未来の“労働力不足”を解消

今後、高齢化が進む日本では、労働人口の減少が深刻化すると言われています。特に危険な現場での作業、身体に負荷がかかるような作業は、担い手の減少が懸念されています。

川崎重工は2030年に目指す将来像「グループビジョン2030」において、「安全安心リモート社会」を掲げ、総合ロボットメーカーとして、ロボットを活用した解決策を社会に向けて提案していきます。

「安全安心リモート社会」とは

テクノロジーの進化によって、多くのオフィスワークはリモートで行うことが可能になりました。しかし、製造の“現場”、医療の“現場”など、未だ多くの“現場”の仕事は人の手で行われているものが多く、多様な働き方を制約するものになっています。

日本のあらゆる“現場”に自由と多様性を──。

ロボットで、“現場”の仕事をリモート化することによって、今、現場で働いている人たちに安全と安心をもたらす。それが川崎重工の掲げる「安全安心リモート社会」です。

安全安心リモート社会2つのアプローチ

01.ロボットによる自動化

これまで人が行っていた作業をロボットが担うことで、現場の3K(きつい・きたない・きけん)労働をリモート化する。

02.ロボットのリモート化

ロボットを遠隔操縦することで、現場の仕事をリモート化。身体的な能力や年齢による制約が緩和されるため、多様な人材の労働参加が可能になります。

患者に負担をかけない腹腔鏡下手術

1969年に日本初の産業用ロボット国産化に成功している川崎重工はロボット支援下手術の普及拡大に貢献するため、2013年シスメックス株式会社との共同出資で株式会社メディカロイドを設立。国産初の手術支援ロボットシステムとして「hinotori™」を開発しました。

記事はこちら>>

Withコロナを支えるカワサキロボット

これまで、PCR検査は医療従事者の人手によって行われていました。作業にあたる医療従事者自身に感染のリスクがあるほか、検査に人手がかかるために現場が逼迫してしまうケースもありました。一連の検査を自動化することにより、医療従事者の感染リスクを低減すると共に、大量の検査を正確に実施することもできます。

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Remote Robotics トップ対談

川崎重工とソニーグループは、2021年12月1日よりリモートロボットプラットフォーム事業の新合弁会社「リモートロボティクス株式会社」の営業を開始。全ての人々が社会参加できるリモート社会の実現を目指し、リモートロボットプラットフォームを通じて、安全で安心な新しいワークスタイルを提案していく予定です。同社社長の田中宏和氏、副社長の長谷川省吾氏の両名に、リモートロボティクスの今後についてお話を聞きました。

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【安全安心リモート社会】Withコロナを支えるカワサキロボット https://kawasakirobotics.com/jp/blog/story_13/ Mon, 27 Feb 2023 01:01:00 +0000 urn:uuid:63ff10c8-5576-4445-8e7b-42716bdbd657

依然として、全世界に猛威を振るう新型コロナウイルス。経済活動が制限され、私たちの生活に少なからず影響を与えています。

一説によれば、新型コロナウイルス出現以前の人の移動の水準に戻るには今後3年間の時間を有するという見方もあり、その間は感染状況のモニタリングや検疫体制の強化を継続していく必要があります。

川崎重工は新型コロナウイルスのPCR検査をロボットにより自動化することで、安全で安心な社会の実現を目指しています。

医療従事者を感染リスクから解放

これまで、PCR検査は医療従事者の人手によって行われていました。作業にあたる医療従事者自身に感染のリスクがあるほか、検査に人手がかかるために現場が逼迫してしまうケースもありました。一連の検査を自動化することにより、医療従事者の感染リスクを低減すると共に、大量の検査を正確に実施することもできます。

川崎重工の自動PCR検査ロボットシステム

自動PCR検査ロボットシステムの特長

(1)RT-PCR検査方式を採用した高精度な検査
(2)ロボットによる無人化/自動化により、大量の検査を短時間に安定して行えるとともに、医療従事者の負担低減が可能(約80分での検査を実現)
(3)遠隔監視により安全性を確保しつつ運用を簡素/省人化
(4)厚生労働省・医師会の推奨手法に沿った手順でのロボットによる大量検査
(5)省スペース対応
(6)コンテナとして移動も可能なため、様々なイベント等でも活用が可能

PCR検査の主な流れは、検体が保存された容器のフタを開けて、検体を取り出し、培養液の容器(ディープウェル)に移し替え、核酸抽出された検体を検査用の試験管(8連チューブ)に分注する、というものです。

川崎重工は小・中型汎用ロボットのRSシリーズを用いて、これらの作業を自動化するシステムを構築しました。これにより、検査時間の短縮と検体に異物が混入してしまうリスク、そして医療従事者を危険な作業から解放することが可能になります。

RSシリーズ ロボットアーム

コンパクトでありながら、高速かつ広い動作範囲が特長

RT-PCRとは
※ウイルス検出精度については諸説あり、参考値となります。

川崎重工はPCR検査の方法として、最も精度の高いRT-PCRを採用。検体内のウイルスをより少ない状態からでも検出でき、感染直後/発症前の感染も検出が可能です。

プロジェクトストーリー | なぜ、川崎重工がPCR検査?

新型コロナウイルスの第一波が日本で猛威を振るいはじめた2020年3月、川崎重工はロボット開発の知見を活用して医療従事者に貢献するため、社内プロジェクトを立ち上げました。

その中で、プロジェクトチームは医療従事者が自らも感染のリスクにさらされながら、膨大な数の検体を検査している実態を知ります。当時は急速な感染拡大により医療従事者のリソースも逼迫している時期でした。

想いを強くしたプロジェクトチームは同年秋にデモ機を発表、構想から約半年という短期間での開発を実現しました。

川崎重工のロボット技術を活かし、迅速に進められたプロジェクトは2021年1月31日、医療の現場への本格導入を開始しました。愛知県からPCR検査数の増加を求められていた藤田医科大学は、川崎重工製の自動PCR検査ロボットシステムを導入して、同大学内に「川崎重工業株式会社 藤田医科大学内PCR検査センター」を設置。1日最大2,500件のPCR検査を行うことが可能になりました。

川崎重工と医療

医療分野は特殊な領域であるため、綿密な検証とPDCAが求められるほか、今回の自動PCR検査ロボットシステムではクリーン室対応や過酸化水素消毒への対応が必要になるなど、通常の産業用ロボットとは異なり、開発・導入にあたって医療分野ならではのノウハウが求められました。

今回のプロジェクトを滞りなく進めるに至った背景には、検査・診断の技術を保有し、医療分野に幅広いネットワークを持つシスメックス株式会社(以下、シスメックス)と川崎重工の共同出資で設立された、株式会社メディカロイド(以下、メディカロイド)の存在があります。

メディカロイドは川崎重工の産業用ロボットへの知見、シスメックスの医療・ヘルスケア領域への知見の2つを持ち合わせています。

手術支援ロボット、そして今回の自動PCR検査ロボットシステムなど、川崎重工、シスメックス、メディカロイドは、今後も医療の現場をサポートしていきます。

活躍の場を広げる自動PCR検査ロボットシステム

関西国際空港

2021年5月20日、自動PCR検査ロボットシステムを関西国際空港の出発ターミナル入口に設置。国内初の空港での国際線出発旅客向け検査サービスの提供を開始しました。

医療法人友広会と業務提携し、2021年9月には開設したPCR検査センターを拡充。関西国際空港第1ターミナルビル4階に「医療法人友広会 関西国際空港PCR検査クリニック」をオープンしました。

PCR検査は、川崎重工が友広会から委託を受け、既に空港に設置している自動PCR検査ロボットシステムで実施。検査の受付から最短3時間で陰性証明書を発行できる体制をサポートします。

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【安全安心リモート社会】Remote Robotics トップ対談 https://kawasakirobotics.com/jp/blog/story_14/ Mon, 27 Feb 2023 01:00:00 +0000 urn:uuid:e042e4f5-a68d-44f5-8a6f-083032b2a7d2

川崎重工とソニーグループは、2021年12月1日よりリモートロボットプラットフォーム事業の新合弁会社「リモートロボティクス株式会社」の営業を開始。全ての人々が社会参加できるリモート社会の実現を目指し、リモートロボットプラットフォームを通じて、安全で安心な新しいワークスタイルを提案していく予定です。同社社長の田中宏和氏、副社長の長谷川省吾氏の両名に、リモートロボティクスの今後についてお話を聞きました。

プロフィール

田中 宏和
リモートロボティクス株式会社
代表取締役社長

  • 1998年:ソニー株式会社入社
  • 2005年:米国Sony Electronics Inc.出向(2010年帰任)
  • 2015年:ソニー株式会社 デジタルイメージング事業本部 センシングモジュールビジネス部門 統括部長
  • 2016年:ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社 B2Bセグメント事業部門 統括部長
  • 2021年:ソニーグループ株式会社 新規事業探索部門 統括部長

長谷川 省吾
リモートロボティクス株式会社
代表取締役副社長

  • 1986年:川崎重工業株式会社入社 ロボット事業部門
  • 2003年:ドイツ Kawasaki Robotics GmbH 出向(2008年帰任)
  • 2008年:川崎重工業株式会社 ロボット事業部門 各適用技術開発部署の部門長(一般産機、半導体、車体・塗装)

リモートロボティクスが挑む社会課題

田中社長:我々が今直面している課題は、このコロナ禍において、まだリモートで働けない人々がたくさんいるということです。そういった人々のために、ロボット及びそれを遠隔操作する仕組み、人と事業所を繋いでいく仕組みを提供することで、社会課題の解決に寄与できないかと考えています。

長谷川副社長:特に日本ですね。国内では労働力不足が叫ばれていますし、これから何十年にわたって労働力が減少していくという推測がされています。

今、田中さんが仰られたように、リアルな現場で働く人々のリモートでの労働参加、もしくは現場になかなか行けなかった人たちが、労働力として働くことができるようになる世界、そういった世界を作っていきたいと思っています。

田中社長:その中で、まずは遠隔でロボットを操作・指示をするシステムの提供。もう1つはワーカーと事業者をつないでいく、いわゆるエンゲージメントの仕組みを提供したいと考えています。

リモートロボティクスが提供していきたいこと

長谷川副社長:我々が提供するプラットフォームでは、最初に事業者のロボットシステムと遠隔地にいる作業者の方々をつなぐサービスを提供していく予定です。

田中社長:リモートの仕組みを構築すると、作業者の方が実際に現場に行かなくていいだけでなく、複数の現場の作業をリモートで行うことができるため、時間の有効活用にもつながります。リモートを導入することで、時間的にも生産性が上がるということです。

長谷川副社長:作業者の方が行くことができない現場もあります。そこでは作業者の人としての知見や技能を活かすことができません。そういった現場と人を物理的には離れた状態で繋ぐ。これが実現できれば、我々のサービスが活きるのではないかと思います。

田中社長:我々のサービス、仕組みの中で大切にしたいのは、やはり人に寄り添うというところだと思います。ロボットを導入して完全自動化を進めていくことができる領域はあります。

しかし、完全自動化に進むという方向は、どちらかと言えば、人が要らなくなる方向だと思います。我々は人に寄り添うことで、人が作業することにより生み出される価値を大切にしたいと考えているのです。

「全ての人々が社会参加できるリモート社会を目指して」

田中社長:これまで申し上げた世界観を実現するために、ソニーグループと川崎重工の技術・ノウハウを結集していくつもりです。しかし、我々2社だけではできないことも当然あるでしょう。

長谷川副社長:我々の目指す社会・世界を作っていくためには、たくさんの人たちと一緒になってやっていく必要があると考えています。

田中社長:偶然の出会い、新たな発見、そこから生み出される価値。ここを大切にしていくため、ダイバーシティは重要です。

長谷川副社長:我々、リモートロボティクスを中心に、様々なパートナーと一緒に社会変革を起こしていきたいと考えています。

すべての人が社会参加できる世界では、仕事や働き方はつらいものではなく、楽しいものでなくてはならないと思っています。

我々のサービスを使うことで、「何だ、仕事ってこんなに楽しかったんだ」と感じられるようなプラットフォームを提供していきたい。皆さん、新しい働き方を提案できるように是非一緒にやっていきましょう。

田中社長:リモートロボティクス株式会社を通じて、今リモートで働いているオフィスワーカーだけでなく、すべての人が社会に参画できる、そんな世の中をしっかり作っていきたいと思っています。どうぞリモートロボティクスの今後の活動にご期待ください。

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ゼロから知りたい!自動化の流れと注意すべきポイント 初めての産業用ロボット導入編 https://kawasakirobotics.com/jp/blog/story_1/ Mon, 27 Sep 2021 03:48:00 +0000 urn:uuid:9e8e0fb9-da44-43c4-a0bd-dc5d9d953808 元来産業用ロボットは、繰り返し作業や危険を伴う作業、重量物の運搬といった重労働を人間の代わりに行う機械として誕生した。古くは自動車産業や各種機械、電気製品といった基幹産業に始まり、今では農林・土木作業、医療・福祉、三品産業などにも活躍の場を広げている。とりわけ製品のライフサイクルが短期化し、「多品種少量生産」「変種変量生産」のニーズが高まる昨今は、ロボットの持つ汎用性・多用途性に注目する分野が拡大。必要な時に、必要な場所へフレキシブルに導入出来る産業用ロボットへの期待は大きく膨らんでいる。

ゼロから知りたい!自動化の流れと注意すべきポイント 初めての産業用ロボット導入編02

しかし、いざロボット導入に踏み切るとなると、多くのクエスチョンが湧いてくる。「どの作業をロボットに任せることが出来るの?」「どういう段取りが必要になるの?」「そもそも誰に相談すればいいの?」 初めてロボット導入を考えるときに浮かんでくるあれやこれやの疑問点。そんな不安や悩みを解決すべく、産業用ロボットを迎え入れるにあたっての、具体的な流れとポイントをご紹介したい。

最初に相談すべき“導入のプロ”

ロボット導入歴はゼロ。興味はあるがどの作業を自動化すべきか分からない。そもそも自動化出来るのか出来ないかの判断が難しいーーそのような現場にも、安心してロボットシステム導入が出来る仕組みはきちんと用意されている。多くの場合、ロボットシステムの構想から設計、導入までを幅広く担っているのは「ロボットシステムインテグレータ(ロボットSIer=エスアイアー)」と呼ばれる専門のエンジニアリング企業である。いわば“ロボット導入のプロ”といえる存在であり、一般的にはユーザーとロボットメーカーの間にこのSIerが介在して、彼らが接続役となってシステム導入までの道のりを導いていく。ちなみに川崎重工は、自社内でこのロボットシステムインテグレータの役割まで担うことの出来る貴重なロボットメーカーだ。

ゼロから知りたい!自動化の流れと注意すべきポイント 初めての産業用ロボット導入編03

では、ロボット導入から自動化完了までの具体的な流れを追ってみよう。基本的フローの一例は「ロボット導入プロセスチャート」にまとめた。前提となるのがロボットシステムインテグレータによる「事前のヒアリング」と「現場の実見」。ユーザーが何を求めているのか、実際の現場がどうなっているのか、予算やスケジュール、サイクルタイムにスペック、品種、スペースといった基本条件はもちろん、どんな些細なことでもここで共有しておくことが重要となる。ロボットシステムの構築は、ユーザーとシステムインテグレータ、ロボットメーカーとの共同作業で実現するものであり、“相手を知る”ことは何よりの第一条件なのだ。

ロボットが仕事出来る環境づくり

続いて自動化出来る作業工程をピックアップしていく。実はロボットには、得意な作業と不得意な作業がある。例えば一定の動作を一定の精度で繰り返すのはお手の物だが、見た目や微妙な手触り、匂い、味など五感に関わる作業となると、別途ビジョンと呼ばれる視覚センサーをはじめとする各種センサーが必要になり、周辺機器の設置や周辺環境の構築など、システムが複雑かつ高価になってしまう。効率や生産性、費用対効果の観点も含め、本当にその工程にロボットが相応しいか、ロボットが力を発揮できるかどうかを考慮し、検討をしていく必要がある。

最も多いケースである生産工程の部分的な改善においても、上記のような視点も加味しながら、人が行ったほうがいい工程とロボットが担うべき工程を整理することが第一歩になる。

ロボットによる自動化の対象となる工程を絞ったあとは、実際の業務をロボットに代行させるために作業要素を“分解”していく。例えば人の感覚だと「ねじをとって治具上の製品に配置し、締め終えたら完成品を隣の箱に入れる」くらいを一つの動作単位と捉えるかもしれないが、ロボットの場合は「ねじを取る」「治具に製品を配置する」「ねじを正しい場所に配置する」「ねじを締める」「完成品をピックアップして隣の箱に入れる」とそれぞれの作業を細分化していく必要がある。

ゼロから知りたい!自動化の流れと注意すべきポイント 初めての産業用ロボット導入編04

この時、見落としがちになるのが「人が何気なくやっていること」。例えば、部品をラックに乗せるときに裏返したり、製品に異物が入っていないか目視したり、密封性を確認するためにぽんぽんと表面を叩いたり。そんな作業員が自然の流れで行っているような細かな作業も、ひとたびロボットにやらせるとなると、細分化された一つ一つの動作をプログラミングするだけでなく、使用するツールや前後の工程の連動までを、システムとして構成する必要があるのだ。

また、動作の要素分解と同時に、ロボットが働く“環境づくり”も必須となる。 例えば、ロボット自体の稼働スペース自体には問題が無くても、供給部品を一時的に置いておく保管スペースが無いと工程が滞ってしまう。供給部品をどこに、どのくらいの時間置いておきたいか等、自動化した工程だけでなく、その前後の工程とスムーズに連動出来ているかといった現実的な工程の流れをイメージしながら、設計をしていくことはとても重要。ここでは作業者、ロボット、部品、プロダクト、スペース、時間といった複合的な要素を、上流から下流までいかにスムーズに渡していくのか、俯瞰して見つめる“マクロな視点”が求められる。

ゼロから知りたい!自動化の流れと注意すべきポイント 初めての産業用ロボット導入編06

導入後のフォロー体制は要チェックポイント

どのような種類のロボットをどこに配置し、ロボットがどういう役割を果たし、タスク全体はいかなる流れになるのか。そのベースとなるストーリーラインが出来上がったら、その基本設計に基づきリスクアセスメントを実施。安全性に問題無いことが確認出来れば、ロボットシステムの製造やプログラミングへと入っていく。

ロボットシステム全体の設計図が出来た後は、製造・テスト・納品・据え付けを経て、実稼働というフェーズに進んでいく。しかし無事に導入を終えても、ロボットメーカーやシステムインテグレータの仕事は終わらない。定期点検や不具合への対応、障害発生時の復旧支援など、導入企業との付き合いは長く続く。ちなみに川崎重工は、導入後の企業向けに専用のコールセンターを設けている。また、24時間対応のヘルプデスクも開設しているため、夜間のトラブルにも対応が可能。フォローとサービス面が充実しているのもユーザーに支持される理由である。

川崎重工のアフターサービス専門部隊が誕生したのは30年以上も前で、1986年にはメンテ・アフターサービスの専門会社として、カワサキロボットサービス株式会社(前・カワサキロボティクス株式会社)を創業している。カワサキロボットの背後には、導入から稼働、整備、更新と、ロボットの一生に寄り添う専門家集団が常に控えているのだ。

ゼロから知りたい!自動化の流れと注意すべきポイント 初めての産業用ロボット導入編05

ロボットシステム導入のパートナーとして、お客様が川崎重工を選ぶ理由は様々ある。モノづくりを知り尽くした企業だからこそ、顧客のロボット導入をリアルにサポートしようという体制が十全に整っているのもその一つ。例えば西神戸工場内には、国内最大級のロボット設置数を誇るショールームがある。そこには垂直多関節ロボットやパラレルリンクロボット、クリーンロボット、そしてduAro(デュアロ)やSuccessor(サクセサー)まで、カワサキロボットが勢揃い。溶接や塗装、お弁当の仕分け作業など、シチュエーション別に現場での活用シーンを忠実に再現している。「ロボットってこういうことが出来るんだ」 顧客が具体的なイメージをしやすいよう、展示会以外にも常設でこのような施設を用意しているという。

人手不足を解消したい。生産効率を上げてもっとプロダクトを作りたい。ヒューマンエラーを防いで品質を安定させたい。過酷で危険な作業から作業員を守りたい。ロボット導入を考えるきっかけは、企業によってそれぞれだ。確かに産業用ロボットはそれらの問題に最適なソリューションだが、一方で、人間とロボットをそのまま置き換えるだけではうまくいかない。導入前から導入後まで、常にそばにいてサポートしてくれるプロの存在を抜きにして、ロボットのいる光景は成立しない。自動化というシステムは、ロボットシステムインテグレータ、ロボットメーカーという両輪を得てこそスムーズに走り出すのである。

[コラム]産業用ロボット導入をもっと素早く!
「K-AddOn(ケーアドオン)」の運用がスタート

産業用ロボットはロボット単体では働くことが出来ない。ハンドやビジョンといった周辺機器と接続し、システム全体として初めて仕事が出来るようになる。ところで、その様々なメーカー製の機器同士を円滑に繋ぐためには、それぞれソフトウェアを連携させるための接続作業が必要となる。そのロボットと周辺機器を接続する時間を短縮し、スムーズな導入を促すために川崎重工が運用を開始したプラットフォームが「K-AddOn(ケーアドオン)」だ。川崎重工製の産業用・協働ロボットのインターフェースを周辺機器メーカーに広く公開することで、ロボットSIerやユーザーが、導入時に必要な機器接続の検証コストを削減出来るようにした。

ゼロから知りたい!自動化の流れと注意すべきポイント 初めての産業用ロボット導入編07
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