川崎重工のロボットづくり | 川崎重工の産業用ロボット https://kawasakirobotics.com/jp/blog/category/kawasaki-robots/ Thu, 03 Aug 2023 07:44:09 +0000 ja hourly 1 https://www.altis-dxp.com/?v=6.2.4 https://kawasakirobotics.com/tachyon/sites/3/2022/02/cropped-site-icon.png?fit=32%2C32 川崎重工のロボットづくり | 川崎重工の産業用ロボット https://kawasakirobotics.com/jp/blog/category/kawasaki-robots/ 32 32 大田区民に向けた親子参加型イベントを共同開催しました。 https://kawasakirobotics.com/jp/blog/20230803_event/ Thu, 03 Aug 2023 02:00:00 +0000 urn:uuid:2e4146e3-37a7-4291-8c8d-0765ddc7a141 川崎重工は、7月22日(土)・23日(日)の二日間、東京・羽田の「HANEDA INNOVATION CITY」において、大田区の小学生と保護者向けの親子参加型イベント「川崎重工×きらぼし銀行presents ロボットエンジニアになろう!」を開催。事前に募集した大田区内の小学3~6年生及びその保護者30組が参加しました。

 本イベントは、「親子で学べる夏休みイベント」として企画され、川崎重工は子供向けプログラムを提供しました。ロボットの仕事や仕組みを学んだあと、産業用ロボット(小型汎用ロボットRS003N)を操作して課題に挑戦しました。

この企画は、川崎重工、きらぼし銀行、ICMGの3社が「羽田共創プロジェクト」※1の一環として企画し、大田区教育委員会の後援によって実現しました。川崎重工が提供するプログラムのほかには、きらぼし銀行が保護者向けに、子供の進学にかかる教育費用や“人生100年時代”に必要な備えについて学ぶ「金融教育プログラム」を提供しました。

保護者からは「本物の機械に触れて動かす体験をしたことがなかったので今回のロボットエンジニアに参加できてとてもよかったです。制服を着ている姿もいつもより成長しているように見えました。」など、有意義な時間を過ごせた、というコメントを多くいただきました。

川崎重工は、今後も同プロジェクトの活動を通し、「スマートエアポートシティ」、「カーボンニュートラル」、「地方創生」等、社会課題解決や変革をテーマに、大企業、中小企業、スタートアップ企業、行政、自治体等と共創します。そして、首都圏の空の玄関口である羽田エリアから世界に向けて、社会変革イノベーションの創造に邁進していきます。

実施概要
イベント名:川崎重工×きらぼし presents 「ロボットエンジニアになろう!」
日 時:2023年7月22日(土)~23日(日)10:30~11:45、13:30~14:45、15:30~16:45の各日3回
開催場所:羽田イノベーションシティZONE K 2F 「PiO Park」
企 画:株式会社ICMG
主 催:川崎重工業株式会社、株式会社きらぼし銀行
後 援:大田区教育委員会

※1)羽田共創プロジェクトについて
川崎重工、きらぼし銀行、ICMGの3社が羽田空港(日本空港ビルデング・羽田未来総合研究所)および大田区と共創し、さまざまな社会課題解決に向け、実証実験、社会実装といった目に見える形の具現化を重ねていくことで、未来につながるエコシステム(持続可能なサービスの生態系)を構築していくことを目指すプロジェクトです。
さらに、同プロジェクトの一環で、昨年きらぼし銀行がスタートアップや中小企業成長支援のためのインキュベーション施設として開所した「KicSpase HANEDA」と相互連携することで、大田区の中小企業をはじめ、人手不足を課題とする製造現場の省人化支援やロボティクスベンチャーの新製品開発支援等、ロボットによる中小企業やスタートアップのイノベーションの実現に取り組んでいきます。

本イベントに関するお問い合わせ
川崎重工業株式会社 ロボットディビジョン マーケティングコミュニケーション課

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【Robust Humanoid Platform】人共存型ヒューマノイドロボット「RHP Friends」 https://kawasakirobotics.com/jp/blog/story_21/ Mon, 27 Feb 2023 01:24:11 +0000 urn:uuid:a473f718-272b-46b8-8176-4c8214572611 2015年に開発を開始して以降、さまざまなバージョンアップを繰り返してきた川崎重工のRobust Humanoid Platform(以下RHP)Kaleido。早期にKaleidoで培った技術を社会に還元するため、現在Kaleidoから派生した2つのロボット開発を進めています。それがスリム型ヒューマノイドロボット「Friends」と四脚歩行ロボット「Bex」。2つのロボット開発に踏み切った真意とは? 開発責任者である掃部 雅幸氏(工学博士)に聞きました。

人共存型ヒューマノイドロボット「RHP Friends(以下Friends)」

ー 「RHP Friends」の開発に至った経緯を教えてください。

川崎重工では、産業技術総合研究所と日本のヒューマノイドロボットの技術向上のため共同研究を進めています。日本の産業に役立つヒューマノイドロボットとはどのようなものか。

私たちはKaleidoの社会実装例の1つとして災害救助の現場を想定していましたが、より早く社会実装につながる現場として工場も考えられます。工場の中でも量産品の製造ではなく、高付加価値の商品を組み立てるような作業。これにヒューマノイドロボットが利用できるのではないか。

そういった現場では現状、人が狭い場所で体をくねらせながら作業をしていたりします。また作業場所に辿り着くまでに細い通路を通らなくてならないこともあります。ただ、その作業自体はネジ締めのような地味で簡単な作業。そんな場合、作業だけ見れば人よりもロボットの方が得意です。

ただしそういった場所で作業するためにはヒューマノイドロボットは細い型でなくてはなりません。柔軟で、人と一緒に働くための安全な設計がされていて、万が一倒れても周囲の装置を壊さない。力はあるに越したことはないけれどそこまでは必要ない。そういったロボットであれば、飛行機のエンジンやガスタービン、化学プラントのような場所でも活躍する場があるはずです。

これまで、私たちが開発していたKaleidoが目指していたのは強靭さやパワーでした。そこで、細い機体で狭いところも通れる、かつ周囲の人から見ても優しいデザインのロボットを開発しようとしたことが、Friendsのプロジェクトのはじまりです。

ー KaleidoからFriendsへ受け継がれている点や、逆に異なる点を教えてください。

川崎重工の50年にわたる産業用ロボットのノウハウや設計思想は、もちろんKaleidoだけでなくFriendsにも受け継がれています。またKaleidoの設計技術も踏襲しています。

異なる点はまずスリム化です。そのために、高品質でかつ小さいモーターを使用して、軽量化しました。Kaleidoの重さが80kg程度あるのに対して、Friendsの重さは55kg程度。また小さいモーターだからFriendsの細い体にも入れることができます。身長もKaleidoが180cm程度なのに対して160cm程度と小柄です。

スリム化は目指さなくてはいけませんが、川崎重工は産業用ロボットメーカーとしての矜持があるからこそ、すぐに壊れるものは作れない。スリム化をしながらも産業用として使える品質を担保する、ぎりぎりのバランスを追求したのがFriendsです。

また、人と協働することを想定していますので、人が近づいたときに手を挟まないなど、人協働ロボットとしての考え方が導入されているのもFriendsの特長です。

ー デザインも周囲に怖さを感じさせないものになっていますね。

はい、そうですね。人と協働するときにという話ももちろんですが、今後、人間がロボットに求めるのは決して労働だけではないと考えています。

例えばAIが今後進化していったときに、AIと「この花きれいだね」なんて会話をしても、AI単体では一緒に出かけることはできません。

でもAI搭載のヒューマノイドロボットが人と一緒に生活する。そんなシーンがもしかしたら労働よりも早く訪れるのではないかとも思っています。外観や顔の表情など、人に受け入れられるということをFriendsではかなり意識をしています。

ー FriendsはiREX(2022国際ロボット展)で初披露されます。展示の見どころを教えてください。

介護現場での実用化を想定して、Friendsが車椅子を押して、高齢者の方とお話するというデモンストレーション。そして、Friendsがステージに登場して、歌いながら踊るエンターテイメントの演出を用意しています。
エンターテイメントのデモンストレーションでの技術的なポイントはモーションキャプチャの技術です。事前に人間が動いて見せると、その動きをロボットが再現するのです。

これまではパソコン上でプログラミングをすることで、ロボットを動かしていました。しかし、その作業が不要になり、直感的にティーチングを行うことができるようになります。今回はFriendsの動きを見ていただきたくてダンスを選びましたが、モーションキャプチャによるティーチングはさまざまな場面で利用可能です。

四脚歩行ロボット「RHP Bex(以下BEX)」

ー こちらも今回初披露になる「RHP Bex」。開発の経緯について教えてください。

私たちはKaleidoの開発を通じて、二足歩行ロボットの難しさを感じていました。ヒューマノイドロボットは人間と同じ形だからこそ、究極的には人ができることはすべてできる可能性がある、汎用性の高いものです。ただ、その実用化には長い期間がかかるでしょう。

一方で、私は、車輪で動く自走式サービスロボットのNyokkeyも開発していますが、約1年ほどで実証試験のフェーズまで至りました。短期間で開発することが出来ましたが、やはり不整地を移動するには車輪ではなく脚が適しています。そこで、ヒューマノイドロボットとNyokkeyのちょうど中間の領域。ここにもビジネスがあるのではないかと考えたのです。

そこで開発をはじめたのが四脚歩行ロボットのBexです。ヒューマノイドロボットの開発で培った歩行技術は四脚歩行ロボットにも必ず活かすことができると考えています。

ー Bexはどのようなシーンで利用されるのでしょうか。

まずは、建築現場で資材を運ぶなどの軽可搬を想定しています。100kg可搬を目標に現在開発を進めています。

あとは検査ですね。広大なプラントの中で、計器が今どのような状態か、Bexがぐるっと見回りをして、遠隔でカメラから映像を確認するという使い方もできます。農地で人が収穫した作物をBexが運ぶ、なんて使い方も可能です。

川崎重工は、このBexもヒューマノイドロボットの1つと位置づけて開発を進めています。四脚で歩くロボットは既に存在していますが、ヒューマノイドとして腕を持つ四脚ロボットは多くありません。ここに、ヒューマノイドロボット開発を続けてきた川崎重工が四脚ロボットに取り組む意義があると考えています。

一方で、ベースはヒューマノイドロボットとしながらも、Bexの上半身は固定のものはなく用途に応じて適応していくことも考えています。建築現場ならば建築メーカーと、プラントならばプラントメーカーとパートナーシップを結び上半身はお任せする。川崎重工は下半身の四脚に注力していき、オープンイノベーションプラットフォームとして提供していきたいと考えています。

ー iREXでのBexの展示の見どころについてお聞かせください。

Kaleidoの体重が80kg。その80kgを支える2本の足が4本ついているわけですから、Bexは本来160kgを支えるポテンシャルを秘めています。そこでBexの上に人間が乗るというデモンストレーションを想定しています。iREXでは是非、Kaleidoだけでなく、兄妹であるFriendsと、Bexにも注目していただければと思います。

関連リンク

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【Robust Humanoid Platform】7代目Kaleidoはどこが違うのか? https://kawasakirobotics.com/jp/blog/story_22/ Mon, 27 Feb 2023 01:24:05 +0000 urn:uuid:3c23908c-3b7a-41b9-a54e-99ef8c544e95 半世紀以上にわたり、産業用ロボットを作り続けてきた川崎重工の技術を結集したヒューマノイドロボット「Kaleido」。2015年に開発を開始して、2017年に初代を発表。以降、バージョンアップを続け、7代目となるRHP(Robust Humanoid Platform)7がiREX(2022国際ロボット展)で披露されます。最新のKaleidoの見どころを開発責任者である掃部 雅幸氏(工学博士)に聞きました。

Kaleidoとは

「Kaleido」は、川崎重工が研究・開発を行うヒューマノイドロボット(人型ロボット)。 産業用ロボット分野で50年以上の歴史を持つ川崎重工業の技術を活かした高い耐久性を備えており、大人とほぼ同じ体格を持ちながらも、“転んでも壊れない”堅牢な構造が特徴。将来的な実用化を目指している。身長180cm、体重は80kg。

7代目Kaleidoはどこが違うのか?

ー 7代目Kaleidoのバージョンアップのポイントについて教えてください。

これまでのバージョンでは、まずKaleidoで2足歩行を実現することを目指していました。それには成功したものの、一般の方がヒューマノイドロボットに要求するレベルは人と同じように自然に動作すること。旧来のKaleidoでは、まだそのレベルには至っていませんでした。

私たちが今回のKaleidoのアップデートで追求してきたのは、「人間のように歩く」「人間のように動作する」という部分です。今回、iREXでは、RHP7の自然で速い動きに注目していただきたいです。

ー 人間のように歩く、動作するというのは、具体的にどういうことでしょうか?

2足歩行ロボットは工学の理論上、膝を曲げながらしか歩くことができません。でも、人間は膝を伸ばして簡単に歩くことができますよね?また、人間は踵から着地して、つま先を蹴って歩きます。これも当たり前のようですが、剛体でできたロボットの足で行うのはなかなか難しい動作です。

こういった制約の中で、私たちは人間の平均的な歩行速度である時速4kmでKaleidoを歩行させることに成功しました。RHP7の歩行を見ていただければ、これまでよりもスムーズに歩行していることを実感いただけるはずです。

この速く歩くということを実現している背景に「動的動作対応」という技術があります。対義である「静的動作対応」は2本足で立っているときにも必ず重心が体の中心にあり、歩くときもゆっくりバランスをとりながらになります。一方で、「動的動作対応」では、重心が自分を支えている足からずれるような動きを積極的に行うことができる。不安定な状態を制御で安定化させて、より人間に近い動きを実現するのです。

失敗をするためのロバスト性

ー 開発にあたってのポイントを教えてください。

まず、1つには先ほどお話した不安定な状態を安定化させるための制御技術。不安定な状態で動作をするためには、まずどのような不安定化が起こるかを予測しなければならず、その不安定を素早く制御して安定化させる作業が必要です。その制御に要求される技術が格段に上がりました。

また、これらの開発は失敗を繰り返しながらの地道な作業になります。開発のプロセスで何度もロボットが倒れるのに対して、壊れない機体がとても重要です。もともとRHPはロバストヒューマノイドプラットフォーム(Robust Humanoid Platform)の略称。ロバストとは「屈強」「堅牢」などの意を表します。元来壊れにくい構造ではあるのですが、それでも積極的にバランスを崩すような実験を繰り返せば、機体にダメージを負うこともあります。それゆえ、さらなる壊れにくい機体への改良もまた必然でした。

ヒューマノイド技術を向上させるオープンプラットフォームへ

ー より人間の動きに近づいたKaleidoですが、iREXにおける展示の見どころを教えてください。

私たちが最終的に目指すのはヒューマノイドロボットの社会実装です。そのため、今回はKaleidoに労働をさせるとどうなるのか。実際の危険作業を想定した展示を行っています。

1つは建設現場を想定した高所作業です。現状、高所作業は人によって行われています。命綱をつけてはいても、やはり危険を伴う作業です。そういった作業はロボットにやってもらいたいものですよね。今回の展示ではKaleidoを吊り上げて、ふらふらと揺れている状況で、作業を行います。

もう1つの展示ではKaleidoが平均台に上ってバランスを取りながら歩きます。そこでぴょんと飛んだりと、先ほど申し上げた「動的動作対応」をわかりやすくお伝えします。

今後、Kaleidoは川崎重工だけでなく他の多くの大学や企業と連携しながら開発・社会実装を進めていきたいと考えています。プラットフォームとしてヒューマノイドロボットの技術を向上していける仲間であれば、国内外問いません。研究者の皆さんには、是非「動的動作対応」でKaleidoの持つ可能性を感じていただければと思います。

ロボットのオープンイノベーション空間
YouComeLab

ロボット開発の課題

労働人口減少、コロナ禍など、ロボットの社会実装が求められています。一方で、ロボット開発には、費用、付帯設備、トラブルサポート、修正など、さまざまな壁があります。ロボットメーカーではない企業の開発は難しく、ロボットメーカーへ試作を依頼しても改良のためのデータが得られないなどの課題がありました。

YouComeLab ーカワサキロボットで、気軽に、手軽に、新技術・新商品開発ができる空間

川崎重工は、AI・機械学習、先進センサ・先進制御、先進素材など、さまざまな専門領域を持つ機関とのオープンイノベーションの場として、YouComeLabを設立します。

YouComeLabには、ヒューマノイドロボットのKaleidoのほか、遠隔協調システムのSuccessorなど、川崎重工のロボットを設置予定。これらのロボットを利用して、企業や大学などの各機関が自ら開発を試みることができます。

YouComeLabの特長

ロボット・設備の利用:無料
立ち上げ・トラブル時:常駐スタッフが対面レクチャー
高度なシステム:川崎重工と共同トライ

明石工場内では2021年4月から稼働中、東京(羽田)で22年4月から開設予定、名古屋(長久手)にも22年度中に設置する予定です。そして今後はシリコンバレー、北京、パリなどの海外拠点も設置したいと思ってます。川崎重工は人間とロボットが共存・共栄する社会の実現のため、さまざまなパートナーとの共創を推進していきます。

関連リンク

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【Robust Humanoid Platform】 https://kawasakirobotics.com/jp/blog/story_23/ Mon, 27 Feb 2023 01:24:00 +0000 urn:uuid:fdd96749-52ce-43ff-8add-5d6a523c9920 人に最適化された環境で、人と共に作業を行い、人の代わりに危険な作業やきつい作業を行うためのヒューマノイドロボット開発が進んでいます。

7代目Kaleidoはどこが違うのか?

半世紀以上にわたり、産業用ロボットを作り続けてきた川崎重工の技術を結集したヒューマノイドロボット「Kaleido」。2015年に開発を開始して、2017年に初代を発表。以降、バージョンアップを続け、7代目となるRHP(Robust Humanoid Platform)7がiREX(2022国際ロボット展)で披露されます。最新のKaleidoの見どころを開発責任者である掃部 雅幸氏(工学博士)に聞きました。

人共存型ヒューマノイドロボット「RHP Friends」

2015年に開発を開始して以降、さまざまなバージョンアップを繰り返してきた川崎重工のRobust Humanoid Platform(以下RHP)Kaleido。早期にKaleidoで培った技術を社会に還元するため、現在Kaleidoから派生した2つのロボット開発を進めています。それがスリム型ヒューマノイドロボット「Friends」と四脚歩行ロボット「Bex」。2つのロボット開発に踏み切った真意とは? 開発責任者である掃部 雅幸氏(工学博士)に聞きました。

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【安全安心リモート社会】患者に負担をかけない腹腔鏡下手術 https://kawasakirobotics.com/jp/blog/story_12/ Mon, 27 Feb 2023 01:02:00 +0000 urn:uuid:eafb4f7b-9d35-41c2-927b-142458799250 「大きな手術跡を残さずに済む」「術後の回復が早い」「患者の身体にかかる負担を軽減できる(=低侵襲性)」などのメリットがある腹腔鏡下手術。しかし、腹腔鏡下手術には高度な技術が必要で、手術自体が難しいという課題がありました。そこで川崎重工は、自分の手の動き通りに腹腔内の手術器具を動かす”——手術支援ロボットシステムの開発に取り組んできました。

hinotori™ サージカルロボットシステム

1969年に国産初の産業用ロボットの生産を開始し、あらゆる技術やノウハウを有する川崎重工と、検査・診断の技術を有し、医療分野に幅広いネットワークを持つシスメックス株式会社は、2013年に共同出資で株式会社メディカロイドを設立。国産初の手術支援ロボットシステムとして「hinotori™ サージカルロボットシステム」を開発しました。この名称は日本を代表する漫画家で、医師免許を持つ手塚治虫先生が生涯を通じて描き続けた名著「火の鳥」より採用されています。

複数ユニットで構成される「hinotori™」

hinotori™ は「サージョンコックピット」「オペレーションユニット」「ビジョンユニット」の3ユニットで構成されます。

サージョンコックピット

3Dビューアをのぞき込みながら、手・足で内視鏡カメラや手術器具を操作します。執刀医の姿勢に合わせることができる人間工学に基づいた設計で手術時の負担を軽減。ストレスフリーな手術をサポートします。

オペレーションユニット

サージョンコックピットからの操作で手術を行うオペレーションユニット。ロボットアームには、川崎重工の双腕スカラロボット「duAro」のテクノロジーが応用されています。人間の腕に近いコンパクトな設計により、アーム同士、もしくはアームと助手の医師との干渉を低減。円滑な手術をサポートします。

ビジョンユニット

サージョンコックピットに表示される映像の統合や音声のコントロールをします。高精細な内視鏡画像を3Dで映し出すとともに、執刀医と手術スタッフとの円滑なコミュニケーションをサポートします。

通信技術を組み合わせた遠隔手術

hinotori™ に通信技術を組み合わせ、様々な関係者様のご指導・ご協力のもと、遠隔手術の実証実験を開始しました。

この実証実験の先には、熟練医による地方への遠隔での外科手術や、地方の若手外科医の遠隔指導・遠隔支援などができる仕組みを見据えています。地方の外科医療における人手不足の改善、更には日本の外科医療の均てん化を目指していきます。

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人とロボットの共生に進化を。「Future Lab HANEDA」の挑戦 https://answers.khi.co.jp/ja/connected-society/20220527j-01/ Fri, 27 May 2022 02:00:00 +0000 urn:uuid:b9acf2f9-3689-4858-85a5-0a911083802b 「産業用」から「総合」ロボットメーカーへ https://kawasakirobotics.com/jp/blog/story_2/ Mon, 12 Apr 2021 09:46:00 +0000 urn:uuid:1e20e8f1-034d-462c-a7c0-09abebe916ab 溶接や塗装、組み立て、研磨、搬送。自動車や半導体の巨大工場で働くロボットを50年以上にわたって作り続けてきた川崎重工は、いわば産業用ロボットメーカーの顔である。しかし今、彼らは「産業用」の枠を取り払い、総合ロボットメーカーへと変わろうとしている。これからどんなロボット社会がやってくるのか。川崎重工は未来に向けてどんなロボットを作ろうとしているのか。ロボット事業のキーパーソン、川崎重工 精密機械・ロボットカンパニーロボットディビジョン長の髙木 登氏に話を伺った。

新型コロナを機に、急速に高まるロボット需要

新型コロナ以後、世界中でロボットの需要が飛躍的に高まっている。研究者団体Robotics for Infectious Diseases(感染症のためのロボット工学)の調査によれば、公共スペースの消毒や発熱検知、教育現場での遠隔コミュニケーション、サービス産業のデリバリーなど、世界48ヵ国の多彩な現場で、パンデミックと闘うロボットの事例は300を優に超えるという(2021年1月現在)。ソーシャルディスタンスが叫ばれる中、これまでロボットの導入など考えてもいなかった現場からも導入を検討する声が絶え間なく上がっていると、各種報道も伝えている。新型コロナをきっかけに、ロボットの可能性を探る実験が世界中で始まったともいえる。

「産業用」から「総合」ロボットメーカーへ02

このままいけば、スマートフォンやパソコンのようなスケールで、ロボットが社会に浸透する日はそう遠くないのだろうか? しかし自律するロボットは使い方を間違えれば危険を伴う機械であるため、“商品”として取引される以上は、充分過ぎるほどの安全性能が求められる。また、売って終わり、が許されない工業製品には信頼性やメインテナンス性、コストパフォーマンスなど、満たすべき要件も無数にある。そのような状況に対して、髙木氏は、「川崎重工にはロボットメーカーとしての大きなアドバンテージがある」と言う。

「我々には産業用ロボットで培ってきた技術があります。今、それをベースにしてこれまで産業用ロボットが使われてきた分野の外の世界へ出て行きたいと考えています。それが総合ロボットメーカーへの道を進むという意味です」

「産業用」から「総合」ロボットメーカーへ03
▲精密機械・ロボットカンパニーロボットディビジョン長 髙木 登氏

川崎重工は、半導体のウエハ搬送のロボットをベースに、人共存型の双腕ロボットduAro(デュアロ)を2015年にリリース。人とロボットが肩を並べる協働作業を現実のものにしたという点で、大きなセンセーションを巻き起こした。2017年には、熟練技術者の動きを再現し、技能を伝承するロボットシステム「Successor(サクセサー)」を、2019年には自走式ロボット「TRanbo(トランボ)」を次々発表。さらに、2020年にはメディカロイド(川崎重工とシスメックスの合弁会社)と共同で開発した国産初の手術支援ロボット「hinotori(ヒノトリ) サージカルロボットシステム」も製造・販売の許可がおり、実際の手術にも成功。並行して、ヒューマノイドロボット「Kaleido(カレイド)」も目下開発中。こちらは6年の開発期間を経て、現在第7世代まで進化している。このスピードを可能にしているのは、長年培ってきた産業用ロボットの商品開発・製造基盤というわけだ。

「産業用」から「総合」ロボットメーカーへ04
▲自走式ロボット「TRanbo」
「産業用」から「総合」ロボットメーカーへ05
▲「hinotori(ヒノトリ) サージカルロボットシステム」(出典:メディカロイド)
「産業用」から「総合」ロボットメーカーへ06
▲ヒューマノイド「Kaleido」

duAroが開いた、ロボットの新しい扉

従来のような大規模製造工場ではすでに産業用ロボットが広く実装されている。ゆえに、従来通りの産業用ロボットという枠組みの中では、どこのロボットメーカーも市場としての限界をある程度感じている、と髙木氏は言う。だからこそ、川崎重工は枠のなかで縮こまるのではなく、自ら市場を広げていこうとしている。そのきっかけとなったのが、前述の協働ロボット「duAro」だ。

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▲協働ロボット「duAro」

「すでにロボットをご利用いただいている顧客は、例えばまずワンアームの垂直多関節ありきで、どうやってそれを動かそうかと考えます。そこで、双腕で作業が出来るduAroをお見せすると、『こういうものがあるなら、あんなことも出来るのでは』と新しい発想が生まれることがあるんです」(髙木氏)

垂直多関節や水平多関節、直角座標、パラレルリンクロボットといった従来の腕が一本の産業用ロボットの枠組みから飛び出したduAroは、ロボット導入の進んだ分野だけでなく、そもそもロボットの導入を考えてもこなかった分野を掘り起こす可能性を秘めているという。

「これまでの産業用ロボットの場合、顧客の方々がすでにロボットについての知識をお持ちでした。だから『これくらいの重さのものを持つことができる、これくらいのロボットが欲しい』という要望をいただくことが多い。でも、duAroは、今までロボットを知らなかったユーザーのところにも持っていこうとしています。そこで色々な動画を作ったりして、こういうところでも使えるんです、あなたのところでも使えるんですよ、というアプローチをしている最中です」

ロボットは人間と共にあるべし

IFR(国際ロボット連盟)のレポートによると、製造従業員1万人あたりの産業用ロボット利用台数は、2019年時点で最も多いのがシンガポール、次が韓国、日本は3番手であるという。しかしマーケット全体に対する導入比率はトップのシンガポールでも9%に留まっており、産業用ロボットの世界シェアの約半分を握る日本でさえ4%。いわゆる“ロボット密度”はまだまだ低く、ロボット化が困難である分野が甚だ多いことが分かる。しかし、果たして本当にその分野へのロボット導入は難しいのだろうか。duAroなら可能なのでは? TRanboならニーズに答えられるのでは? はたまた、まだ見ぬロボットなら出来るのでは? 川崎重工は、持てるロボット技術のすべてを携えて、未開拓の分野にそう問いかけている。

「産業用」から「総合」ロボットメーカーへ08
製造従業員一万人あたりの産業用ロボット利用台数(2019年)
(出典:IFR World Robotics 2019)

産業用ロボットはモノ作りの現場と二人三脚で進化してきた。国産初の産業用ロボットを手掛けて以来、50年以上にわたってロボット技術を練磨し蓄えてきた川崎重工には、新しいロボットを生み出す基盤は充分過ぎるほど揃っている。総合ロボットメーカーへの道を後押しするのは、現場との「対話」に違いない。髙木氏は言う。

「従来の産業用ロボットだけを使って既設の設備を自動化しようとすることは、結構ハードルが高い。でも、例えば新しい設備の自動化を、ロボットを使う前提で考えたときに、今までの形でないロボットのほうが良い、ということも出てくると思います。そうしたとき、設備メーカーさんと一緒になって、ロボット込みの設備や装置を開発していくことが出来たらもっと広がりやすい。さらに、ここは双腕のduAroを入れたらいいね、とか、ここはもう少し細いアームのロボットにしないといけないとか、ロボットアーム自体を昇降させたいとかロボット自体を回遊させたいとか、そういった顧客の皆様の要望を聞いた上で、我々がこれまで培ってきた技術をベースにして、今までにないロボットも作っていけるんじゃないかと考えています」

労働人口の減少、高齢化、製品サイクルの短縮、多品種少量生産体制への移行、さらには感染症対策―― 様々な社会的要請により、ロボットによる自動化は世界中でこれからさらに加速していくだろう。しかし、モノづくりの現場から人が居なくなることは決してない、最後に髙木氏はそう断言した。

「完全な自動化・無人化にしてほしいという要望はこれまでにもかなりありましたが、結果的に、無人の完全自動化を狙うとほとんどのケースは失敗します。私は、人は残しましょうと言ってきました。ゼロにするのではなく、5人のところを1人にしましょうと。その方が確実に自動化が出来るんです。やはり人間の能力というのはすごい。作業量的にロボットが9台必要な作業を全てロボットで自動化しようとすると、ロボットを動かすシステムが複雑になってしまう。だったらロボット9台で9割自動化して、ロボットでの完結が難しいシステム部分1割を人間が担う。そうすれば簡単なシステムでロボット9台分の作業を人一人で扱うことが出来るんです」

duAroもSuccessorもhinotoriも、人と共存することを前提に開発された。Kaleidoは災害救助や介護の現場での実用を目指している。総合ロボットメーカー、川崎重工が描く未来の社会には、ロボットと人が共に生きる風景がいつも広がっているようだ。

「産業用」から「総合」ロボットメーカーへ09
【参考文献】
  • Robin R. Murphy, Vignesh B.M. Gandudi, Trisha Amin, Angela Clendenin, Jason Moats:An Analysis of International Use of Robots for COVID-19. CoRR, 2021
  • 『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』井上智洋著、文藝春秋
  • 『National Geographic日本版』2020年9月号、日経ナショナルジオグラフィック社
  • 『日本初「ロボットAI農業」の凄い未来 2020年に激変する国土・GDP・生活』窪田新之助著、講談社
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川崎重工の西神戸ショールームに潜入! ロボットの活用事例をレポート https://kawasakirobotics.com/jp/blog/story_7/ Mon, 26 Mar 2018 06:33:00 +0000 urn:uuid:00bb599d-794d-4226-b32e-286fd6aeecd7 ロボットはどんな作業をしている?

産業用ロボットは近年テレビに登場するなど、目にする機会は増えてきたかも知れません。では、ロボットの実際の作業現場はどうでしょうか。ロボット大国の日本とはいえ、ロボットが導入された工場での勤務経験でも無ければ、ほとんど馴染みが無いのが実情です。

今回は、川崎重工・西神戸工場内にあるロボットショールームの内部をご紹介します。このショールームでは、ロボットの現場での活用シーンを忠実に再現しており、川崎重工の産業用ロボットがどんな作業ができるのか、一通り見学することができます。では、実際の産業用ロボットの活躍を見てみましょう。

一般非公開のショールームに潜入!

川崎重工の西神戸工場は、兵庫県神戸市西区にあります。ここでは油圧機器や舶用機械などに加え、ロボットも生産しています。ご紹介する大規模なショールームはロボットの工場内に常設されており、ショールームスタッフの案内により、様々な産業用ロボットを見ることができます。
※導入検討中の企業向け施設のため、一般公開はされておりません。

ロボット工場に入ると、中2階からショールームを一望することができます。ロボットのアーム部分を伸ばした状態で3メートルを超えるような大型のロボットが、これだけ多数、同時に稼働している姿はまさに圧巻です。

密集配置で省スペース化!自動車ボディの組立工程

川崎重工の西神戸ショールームに潜入! ロボットの活用事例をレポート02

現在産業用ロボットの活用が最も進んでいる現場は自動車の製造現場です。このショールームでも、最初に目にするのは、自動車ボディの組み立てライン。このブースで使われているBシリーズCXシリーズは、スポット溶接向けの主力ロボットです。

川崎重工の西神戸ショールームに潜入! ロボットの活用事例をレポート03

上の写真の右側部分に設置されているのがBシリーズとCXシリーズのロボットです。赤く囲んである部分の手前側と奥側のロボットでは、それぞれ車種が異なる自動車ボディへの作業を行っています。配置の仕方が異なり、手前には左右に2台ずつ計4台の配置、奥には左右に6台ずつ計12台のロボットが密集して配置されていました。また、車体の下部には、ボディの位置決めを行うロケーターというロボットも設置されています。ロケーターが自動車ボディの位置を調整することで、ひとつのラインで複数車種に対応でき、車種切り替え時の治具変更が不要となるため、大幅なコスト削減が可能となります。

手前の4台はCXシリーズ。中国・蘇州にある”ロボットがロボットを作る工場”で生産されています。アームが軽量で、最新防振制御システムを搭載しているので、スポット溶接特有の短ピッチ動作でも、連続する溶接箇所の間を高速で移動し、溶接箇所ではピタッと止まって作業することができます。

後ろに配置されている12台がBシリーズ。アームが中空構造になっており、ケーブル類を内蔵することによって隣接したロボットとの干渉を回避できます。また、ベースをスリムにすることで狭いスペースに設置できるので、多数のロボットを密集配置することが可能です。これにより、製造ラインの長さを3分の1まで短縮でき、設置スペースや周辺システムの構築などにかかる費用も大幅に削減できるようになりました。コストダウンのためには、様々な工夫がされているんですね。

溶接技術そのものも進化している

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自動車の製造において、ボディを組み立てる際の溶接箇所は数千にも上るため、溶接は重要な工程です。この工程に対して川崎重工が開発した、フリクションスポット接合(FSJ)という接合方法をご存じでしょうか。FSJは、ロボットに持たせた接合ツールで金属の板をはさみ、圧力を加えながら高速回転して摩擦熱を発生させることで、軟化した材料が一体化するという方式。アルミニウム合金等の接合に向いていて、自動車工場ではボンネットなどに使われています。このFSJを行っているロボットも、先程ボディ組み立てラインで紹介したものと同じCXシリーズです。

下の動画では作業対象物をセットした後に、ロボット自身でハンド(人間でいう手先の部分)をFSJガンに持ち替えています。

先程のFSJガンを使用してドリルのように高速回転し、摩擦熱で接合するフリクションスポット接合(FSJ)を行っています。

また従来のスポット溶接で必要だった溶接用の電源ケーブルや冷却用のホース、大電流が不要となるため、設備費用やランニングコストを大幅に低減できます。

重労働もロボットで自動化!最大500kgの荷物の積み降ろし

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一度にたくさんのビールケースを運んでいたのが、パレタイズ(荷物の積み降ろし)用のCPシリーズ。驚くのは、そのキビキビとした動きの速さです。左の「CP180L」は、1時間に2,050回という搬送能力を持ち、同クラスでは業界最速とのこと。これがどのくらい速いかというと、130kgの物を持ちながら、上下40cm、幅2mの距離を2秒で1往復できてしまうくらいのスピードです。見ているだけで腰が痛くなりそうな作業ですが、もちろんロボットなのでそんな心配はいりません。

下の動画ではロボット「CP500L」が、ビールケースを9個同時に運んでいます。

右のCP500Lは、可搬質量が500kgもあります。CP180Lがビールケース3個だったのに対し、CP500Lは9個も運ぶことが可能。デモはビールケースの運搬でしたが、ハンドを用途に合わせて個別に開発することで、様々な荷物の運搬に対応することができます。

商品を認識し、長時間作業でも素早くミスなく仕分け

パラレルリンク型のYシリーズは、高速ピッキングロボットです。デモでは、ビジョンカメラで画像認識を行い、3種類の形(○△□)ごとに整列したり、サイコロを1から6の出た目の数ごとに正確に分類したりしていました。実際の導入現場では、このような複数商品の純粋な仕分けに加えて、同一商品の中から不良品を判定し分類する作業も行っています。

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ベルトコンベアでたくさん流れてくるパーツを、○△□の形別に正確に整列しています。

 

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3台のロボットがそれぞれ、1と2、3と4、5と6の目が出たサイコロのピックアップを担当していました。

こうしたパラレルリンク型のロボットは、小さなものを高速で整列するのに適しています。単調な作業を高速で行う場合、人間ならうっかりミスをしてしまいそうですが、ロボットなら集中力が切れることはありません。現在のYシリーズは、食品・薬品・化粧品の、いわゆる「三品」産業と呼ばれる分野で多く活躍しています。

ロボット同士が協力し合いながら念入りに塗装

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こちらのブースでは、塗装用のKシリーズが動いていました。自動車ボディの塗装には、外側と内側を塗装する2つの工程があり、ここではロボットのアームに付けた治具でドア、ボンネット、トランクを開閉しながら、4台のロボットが車体の内側と外側の塗装を行っていました。各ロボットには塗装ガンが取り付けられており、車体パーツの開閉と塗装という1台2役を担当しています。ロボットが協調しながら作業をしており、塗装の大部分をロボットのみで行っていました。このロボットは実際の自動車工場現場に導入されています。

下の動画では前のロボットが後部ドアを開け、後ろのロボットが内側を塗装しています。

人との共存!双腕スカラロボット「duAro」の調理デモ

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最後のブースでは、双腕スカラロボット「duAro(デュアロ)」が紹介されていました。ここまででご紹介したロボットと大きく違うのは、duAroは人間と一緒の現場で働くことを前提に開発されたということです。モーター出力を抑えているので、安全柵は不要。duAroには衝突検知システムが付いており、人間に接触した場合は即座に停止するようになっています。また、アームには柔らかい素材が使われているので、万が一当たっても痛くありません。下部にはキャスターも付いており、一人でも簡単に移動させることができます。電源とクーラーボックスサイズのエアーコンプレッサーをつなげば稼働できるので、ロボットを置けるスペースが限られる場合でも容易に導入できそうです。

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デモでは、寿司を握ったり、ピザを焼いたりする動きを披露していました。このように両手を連携する仕事ができるのは双腕ロボットならでは。食品業界でも、ロボットによる自動化が進展しているので、近所のスーパー店頭やレストランで見かける日も近いかもしれません。

こちらはduAroが手際よく寿司を握っている動画です。

お台場には一般向けショールームも

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ロボットは様々なところで使われ始めています。従来主流だった自動車産業や電子・電気産業だけでなく、ほかの産業でも利用が拡大。更に、共存型ロボットの登場により、今後は工場を飛び出し、商業施設や家庭での利用も増えていくでしょう。

冒頭でも触れたように、西神戸工場のショールームは一般には非公開ですが、東京・お台場には一般向けのショールームとしてKawasaki Robostageを用意しています。ここでは最新のロボットの見学や、ロボットによるアトラクションの体験ができます。予約は不要で、入場は無料。ぜひ足を運んでみてください。

Kawasaki Robostage
https://robotics.kawasaki.com/ja1/robostage/

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